執行足から異なる時間足のスイングを考える①
「上位足のトレンドを追いかけて目線を固定することが、負けにくくするための術である」
4H足を執行足とするなら日足や週足のトレンドを把握して、その波のトレンドフォローを心がければ、よほど負け続けることはないと言われている。
もちろんエントリタイミングと損切り位置には細心の注意を払って、なすべき時になすべきことを実施することがトレード安定化の要だと思う。
他方、トレンドの捉え方に関して、もう一つの把握の仕方があると考える。それは執行足のチャートを見たときに、そこにあるスイングがどの時間足を主軸に動いているのかという捉え方だ。
【ユロ円:4H足チャート】
図の赤枠と青丸の部分について考えてみる。
どちらも4H足のスイングで考えると、赤枠の方は上下の動きがローソク足1本ずつ往復しているか、または上下のスイングが小さい。
青丸に至っては小さなローソク足による節目のない続落で、ラインに対する明確な抜け戻りをエントリチャンスと捉える自分にとってはエントリ機会がない。しかしこれを1H足チャートでみると状況が一変する。
【ユロ円:1H足チャート】
赤枠で囲った部分には三尊が見られるし、その三尊の左肩に至ってはペナント系の波形が見られる。青丸部についてはきれいなトレンドが見られ、MAに対する戻り売りや水平線に対するリテストも入っている。トレード機会はわかりやすくいくつもあると言える。
つまりこの時のユロ円は1H足の波のスイングで進行していたと考えられる。
このようにその時々のチャート進行の主軸がどこにあるかを考えることによって、トレード戦略を立てやすくなるし、下位足の力で形成されていく波の姿を上位の執行足からイメージできれば、4H足チャートからでもトレード機会を窺い知ることができる。
さらに言えば執行足と異なる波で刻まれる値動きは、その後に上位足または下位足の波で動き出す。
本ケースでは、執行足より下位足の波で刻まれた値動きは、その後に執行足の波で動き出すサインを提供していた。
それが黒切り上げラインに対するリテストであり、チャート進行の主軸が4H足に移った証となる。そしてそこから4H足の波のスイングが生まれたと考えている。
別例。
【ユロドル:4H足チャート】
赤枠部は比較的きれいなトレンドをつけているが、青丸部、特に上昇波は力強い大きなローソク足の連続で明らかにスイングの質が違うことが分かる。
先ほどのユロ円の4Hチャートが小刻みなローソク足の連続だったのに対し、今回のユロドルは比較的大きなローソク足の値動きをしている。
日足のチャートを見てみる。
【ユロドル:日足チャート】
値動きは緑チャネルの天井をついている。それまで緑MAに抑えられていた進行が上にブレイクしたのは、天井をつくためだったと言える。そしてチャネルの上限で「小さなWトップ」を形成し、大きく下落した。
日足で見たとき、それが比較的小さな値動きであったとすれば、その場面は下位足が主軸であったと言える。正確にはチャネル天井タッチまでが日足進行で、Wトップが4H進行だったということになる。
そして日足と異なる時間足の値動きでチャートが刻まれたなら、再び異なる時間足の値動きが刻まれる。本ケースでは日足に4H足レベルのサインが生まれたあと、再び日足レベルのスイングが生まれたと言える。
注意しなければならないことは、時間足の違うチャートは相互に干渉し合っているという点である。フラクタル構造はその最たる例となる。
ここで言う最も大事なことは、主軸が執行足とは別の時間足に移ったと判ぜられるとき、必ずしもそこに第3、第4の時間足の影響がなくなったとは言えないということだ。
再びユロドルの4H足チャートを見る。
【ユロドル:4H足チャート】
赤枠の下ヒゲは何を示唆しているのだろうか。紫切下げラインに対するリテストだけではない。日足の高値に対するリテストである。
【ユロドル:日足ローソクを表示した4H足チャート】
図は4H足チャートに日足のローソク足を表示したものである。見ると日足の高値に対するリテストであると言えるのがわかるだろう。
しかしこれは日足高値へのリテストだけではない。むしろ週足のローソク足に対するリテストという意味合いが強い。
【ユロドル:週足ローソクを表示した4H足チャート】
下ヒゲは週足ローソク足の高値に対するリテストでもあったことがわかる。しかも週足ローソク足の小さな上ヒゲに対しては4H足ローソクの実体レベルでリテストしていることがわかる。
この下ヒゲを確認したならば、チャートは日足のみならず週足レベルのエネルギーを持って進行していると認識できる。だから日足チャネル天井を目指す値動きが発生し、続いていると判断できるのだ。
最後にドルカナを例に挙げる。
【ドルカナ:4H足チャート】
赤丸部はそれまでのチャート進行と違い、力強いスイングなので、少なくとも日足以上の波の力が働いていると考えられる。
【ドルカナ:日足チャート】
見ると、黄色枠の日足高値よりもずいぶん下から一気に抜き去っていることが分かる。ここから更に上位の週足チャートを確認する。
【ドルカナ:週足チャート】
この時の値動きは週足の水色ダウントレンドラインをブレイクするための動きだったことが分かる。そして、緑枠で水色ダウントレンドラインに対するリテストをつけて上昇したことから、週足のスイングで進行していることがわかる。
チャート進行を考える時、下位足は上位足のトレンドに収束していくと言われる。
では、どの時間足が最も力を持っているのか?
基本的には月足である。順に週足、日足、4H足、1H足となる。
では、現時点のチャート進行のエネルギー源はどの時間足の割合が大きいのか。
そういった観点から相場を俯瞰してみると、トレードの揺るぎない指針となるものが見つかるのではないだろうか。
この考察は環境認識の1つの在り方でもあると思うし、特徴的なサインが見えたなら、それはそのままエントリチャンスとなるかもしれないと考えている。この観点から考察を続けて、さらなる発見と示唆が見つかればとても嬉しい。