リスクテイカー論① Wトップからのエントリ+環境認識
Wトップをつけたらエントリする・・・。
Wトップの谷の水平線抜けからエントリする・・・。
Wトップの右肩に引かれる切り上げライン抜けからエントリする・・・。
どこからどういう根拠で、どういう方法でエントリするかというのは永遠のテーマみたいなものだが、エントリポイントが複数あるということはそれだけ猶予もあるということだと考える。従って、エントリが遅れるかもと焦らなくてもいいし、少しの逆行もあるべくしてあると考えれば何も怖くない。
リスクを受け入れる(リスクテイカーになる)とは、「ロスカットになった場合にその損失を完全に受け入れて、動じることなく1つの現象として捉えること」だけではなくて、エントリした時から生じる値動きの内、エントリポイントから逆行する部分についてをある程度想定できていることが前提にあると思う。
リスクテイカーは下記の損切りが完全に手法通りであった場合、まぎれもなくそのリスクを甘受したといえる。
①エントリして100pips逆行して損切りになった。
②しかしそのリスクを完全に受けいれていたので全く影響はなかった。
しかし上記の①と②の間には、とてつもない量の情報が省略されていることに第3者は気づかなければならないし、もしそこに何の情報もないのだとしたら、それは偽りのリスクテイカーかもしれないと考察するべきだ。
たいてい、ここに省略されていることまで語る人は少ないので、傍目から見たら何が何だか分からないと思う。だから他人のエントリ情報は雑多な情報の内のたった1つくらいに受け止めとくのがいいし、さっさと忘れるべきだ。たとえそれが自分と同じ目線であったとしても。
エントリした瞬間から損切り位置までの逆行プロセスについて、単純に戻り高値や押し安値を超えたら損切りしようというルールの場合、おそらくそのトレーダーは相当に気を揉んで値動きを見守ることになると思う。
本来的に、エントリしたら利確位置まで進行するという目論見があるはずで、ここにも当然その利確目標しか見ていなければその間の値動きに気を揉むことになると思う。
何がいいたいかと言うと、
値動きの節目を想定しているか?
現状のパターン認識や環境認識がきちんとできているか?
逆行した場合のプロセスを想定しているか?
ということになる。
ここでは逆行プロセスに重点を置いて語りたい。
【ドル円4H】
まず環境認識からすると、日足は下降トレンド中で、黒切下げラインの中で孕んでいるという前提と、トランプ発言の上昇から想定される3波が生まれるか否定されるかという局面だった。
①赤枠で黒切下げラインを超えられなかった時点で、上抜けの可能性は大きく下がったと考える。ただしこの時点では完全になくならいし、どこまでいっても0にはならない。あくまで下目線の根拠が強まったと考える。
②赤切り上げラインを引いて、下抜けを待つ。
※赤丸でエントリした場合、逆行プロセスはどんなものか?
→aラス押しの黒水平線で反発してWトップをつける可能性は最低でも必要。
→bその高値を超えていく可能性も考慮する。
③黒水平線を下抜けなかったので、緑切り上げラインや青切り上げラインを引いて下抜けを待つ。
※赤切り上げライン下抜け時点で、リテストを想定していれば黒水平線での反発とwトップの形成は想定内になる。ここで「wトップをつけたらエントリする」という手法が検討される。特に赤枠の高値を超えるかどうかがポイントで、ここを超えなければさらに下目線が強まると考える。
※緑丸でエントリした場合、逆行プロセスはどんなものか?
→aWトップの高値を再度狙う可能性は最低でも必要。
→bその高値を超えていく可能性も考慮する。
※青丸でエントリした場合、逆行プロセスはどんなものか?
→c黒水平線で反発して平行レンジやフラッグを作る可能性がある。
→d黒切下げラインを超えていく可能性がある
上記のことはエントリポイントを絞る際に考えていきたいところで、エントリポイントが遅れれば遅れるほどリスクとリワードの比率が変わってくるし、別のリスクも現れてくる。
重要なことは、リスクリワードはpipsだけの話ではなくて、新たに刻まれる値動きが生み出す、別の波、別のパターンも考慮されなければならないということだし、新たに生まれるリスクを再度検討すること自体が、エントリ判断を複雑にさせるということも重大なポイントだ。
それらを勘案して、自分が許容できるリスク(自分にとっての最適なエントリポイント)を考えておくことが大切だと思う。
そして上記で述べたa/b/c/dの更に先の値動きも想定しなければ適切な損切り位置の決定はできない。
→戻り高値を超えるか超えないか?
→200maのグランビルが効くか効かないか?
→黒切下げライン抜けのリテストからさらに上昇するか、上ヒゲで帰ってくるか?
紫水平線付近に損切り位置を設定した場合、赤矢印からの切り返しで緑矢印の進行が望まれることになる。しかし青矢印の進行が生まれた場合は損切りとなる。
この場合、青矢印まで想定できていれば、黒切下げラインをそこに引いて、上抜けしたら黒丸付近で成り行きで損切りすることによって、わずかだが損失を抑えられることになる。
しかし紫水平線付近まで達した時点で、当初の下落進行の目論見から大きく外れているはずだ。そこから切り返す可能性がまだ大きいと言えるなら保持したらいいし、その目がほとんどなくなったと感じれば損切りするべきなのだから、逆説的に紫水平線に損切り位置を設定すること自体がリスクを不要に大きくしているとも言える。
※そこから切り返す可能性がまだ大きいと言える場合はどんな場合があるかと言えば、日足レベルの下降トレンド中であるから、ということになる。
しかしそれは当初のトレード戦略に合致したものであるかを考慮しないといけない。当初のトレードが4Hレベルのデイトレであったとすると、紫水平線までの逆行プロセスは日足レベルのスイングになる可能性を考慮しなければいけなくなる。
説明が脱線するので割愛するが要するにトレード戦略が複雑化してしまうのだ。
単純に戻り高値に損切りを設定するのじゃなくて、どういうプロセスが想定できるのか?そこから更に切り返して下落する可能性とはどういう流れなのかを考えたい。
【黒切下げラインが大きなサポートになっている】
たったそれだけのことが見えていれば、損切り位置は黒切下げラインの少し上でいい。
なぜなら、黒切り下げラインを上抜けるということは、戻り高値や上位のmaまでの逆行が想定されるから、その逆行プロセス分の損失、リスクを背負う必要はないのだ。
そして紫水平線や上位maからの切り返しでエントリする方がよりトレードの質が良くなるかもしれないという可能性を考慮するべきだ。
【理屈はそうかもしれないが・・・?】
では急な値動きで広がったスプレッドに狩られる可能性もあれば上ヒゲだけ伸ばして元の流れに戻ったりする場合もたくさんある。
だから最初は紫水平線でいい。その後値動きがある程度進行したら損切り位置を動かせばいいし、あるいは指標発表前後にポジションを持たないようにすることも適切な手段の1つになる。
どんなリスクがあってどんなリワードがあるのか。
どんな時にどんなリスクが増えるのか。
どんな進行をすればどんなバランスになるのか。
自分が取ろうとしているものの大前提はどこにあるのか。
難しく考えても、最後にシンプルな答えにたどり着ければいいと思う。
自分は未だに誰かが言うリスクの受け止め方やリスクテイカーになっているかの定義がよく分からない。自分のリスクの考え方は人から見れば偽りのリスクテイカーなのかもしれない。
誰かにとっての正解が自分にとっての正解ではないかもしれないし、何よりも大切なことは自分がきちんと納得して設定したかどうかなのだ。
理詰めでも感覚でもいい。ある程度の逆行プロセスを勘案した上で設定したならば、その人は立派なリスクテイカーだと思う。